表裏のない商売〜長野　諏訪五蔵・酒ぬのや本金酒造

2023年8月22日

タミ

みなさん。ごきげんいかがでしょうか。
「酒は一滴も飲めませんが、毛穴で飲んでいる女」こと岡元タミです。
今回は、名前が珍しい酒ぬのや本金酒造です。

基本情報

酒ぬのや本金酒造（さけぬのやほんきんしゅぞう）

所在地	〒392-0004　長野県諏訪市諏訪２丁目８−２１
アクセス	JR中央本線　上諏訪駅より徒歩約１０分
直営店営業時間	平日　９：００〜１７：００土日　１０：００〜１７：００（月に２〜３日日曜休）
電話番号	0266-58-0161
ホームページ	https://honkin.net/
オンラインショップ	なし

諏訪五蔵の共通の情報はこちらへどうぞ

家族５人経営の蔵

宮坂醸造から５分ほど上諏訪駅方向に歩くと酒蔵とは思えない家屋が見えてきます。そこが酒ぬのや本金です。（以後、「本金」と書きます。）お向かいは同じく諏訪五蔵の伊東酒造です。

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「酒ぬのや」これは何？結論から言うとこれは屋号です。正式には「酒布屋」です。創業当時（１７５６年）は「志茂布屋(しもぬのや)」で昭和時代に酒布屋に変更したそうです。

屋号とは？

一門・一家の特徴を基に家に付けられる称号のことである。日本、ヨーロッパにおいて使用されている例がある。日本の場合、家紋のように屋号を記号化・紋章化した屋号紋を指すこともある。現代では屋号（または雅号）は、個人事業者が使用する仕事上の名前や店名、事務所名のことを指す。また、法人の名前は商号という。
Wikipediaより

「本金」はホームページによると

本金の文字には「本当の一番（金）の酒を醸す」という想いが込められています。また、左右対称の2文字から、「裏表のない商売」という意味も。「一番」の酒とは何か、日々の中で「本金の金」を追求しながら酒造りをしています。
酒ぬのや本金酒造ホームページより

だそうです。創業者は相当の覚悟を持って命名したのでしょうね。何を持って一番の酒なのかが難しいですね。

本金は家族５人中心で運営しています。なのに、昔ながらの手作業での製法にこだわっています。ですので、大量の酒を造るのは不可能になってしまいます。製造量は１，８００L強で銘柄を片手ほどの数に絞っています。

本金を支えた杜氏・北原太一氏

9代目当主宮坂恒太朗氏が家業を継ぐために諏訪に帰ってきた時は非常に厳しい状態だったそうです。本金は「忘れ去られた存在」だったそうです。

「これはいけない！」という事で、酒屋・市・商工会議所などに挨拶回りをしたそうです。どうすればいいのかわからないけれど、とにかく本金の存在のアピールをすることから始められたそうです。宮坂氏は本金の味に絶対的な自信があったので、世の中のみなさんが本金のお酒を飲んでいただく機会があればこの状況から脱することができるのではないか？と考えたようです。味の自信はどこから来るのか？それは、杜氏・北原太一氏の存在があったからでした。

北原太一氏は、高校卒業後本金に入社し以後５０年以上「本金一筋」で働いてきた人物です。現在の本金の醸造技術は北原太一氏が作り上げたもので、多くはメジャーな酒米・山田錦を使用する酒が多い中、長野県産の酒米である美山錦を使用した商品が全国新酒鑑評会で金賞を受賞する実績を持っています。本金に「太一」という商品がありますが、北原太一氏の名前をいただいた看板商品です。

車椅子の杜氏

伝説の杜氏・北原太一氏に酒造りを学び、北原氏から杜氏を受け継いだ9代目当主宮坂恒太朗氏。イベントを開催して積極的に一般客と交流を密にした結果、本金の味が知っていただく機会となり、客が戻ってきた矢先、宮坂氏に不幸が襲いかかります。

国指定の難病であるALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症したのです。

宮坂氏が諏訪に戻ってきて3年後、杜氏になって２年後の出来事でした。

筋萎縮性側索硬化症とは？

手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだんやせて力がなくなっていく病気です。しかし、筋肉そのものの病気ではなく、筋肉を動かし、かつ運動をつかさどる神経（運動ニューロン）が主に障害をうけます。その結果、脳から「手足を動かせ」という命令が伝わらなくなることにより、力が弱くなり、筋肉がやせていきます。その一方で、体の感覚、視力や聴力、内臓機能などはすべて保たれることが普通です。
難病情報センターより

自分で体を動かすことが困難となり、車椅子から蔵人に指示をして杜氏の仕事を全うしていました。仕込みの米の状態を手触りで確認することができないので、口で確認して酒造りを進めてきました。体は硬くなりますが、五感は衰えていないので研ぎ澄まして自分の目指す酒造りをします。病気の進行により２０２１年の酒造りシーズンの時に、気管切開手術のため病室からリモートで指示したり、新しい酒造りの形を模索しながらやってきました。

宮坂氏が思う本金の酒は「すっと飲みやすい」「程よく味と香りが膨らむ」「主張しすぎない」の３つがある事だそうです。

購入したお酒

本金　からくち　太一

本金の看板商品です。５０年以上本金一筋で活躍して杜氏・北原太一氏の名前をいただいています。毎日の食卓に飽きのこなくて爽快な味だそうです。

本金の銘柄は共通しているのは「いさぎ良いラベル」です。何も飾らずド直球。商品名ドーン！これからもこのラベルは変わらないで欲しいです。

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この記事を書いた人

岡元タミ

お酒が一滴も飲めないのに酒蔵めぐりをし、お酒を購入するのが趣味な人。「口で飲めないなら毛穴で飲んでやれ！」とお酒を材料にした化粧品を作成して日々消費する生活を送っています。

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