みなさん。ご機嫌いかがでしょうか。
「酒は一滴も飲めませんが、毛穴で飲んでいる女」こと岡元タミです。
今回は高野山のお膝元にある初桜酒造の酒蔵レポートです。
初桜酒造(はつさくらしゅぞう)
所在地 | 〒649-7112 和歌山県伊都郡かつらぎ町中飯降85 |
アクセス | JR和歌山線 中飯降(なかいぶり)駅より徒歩約2分 |
直売店営業時間 | 10:00〜17:00(年中無休) |
電話番号 | 0736-22-0005(受付時間:平日9:00〜17:00) |
ホームページ | https://hatsusakurashuzo.com/ |
オンラインショップ | https://www.hatsusakura.co.jp/ |
川上酒の生き残り
初桜酒造は高野山のお膝元の酒蔵です。
創業は慶応2年(1866年)ですが、今からおよそ1,700年前には酒造りをしていました。
そのきっかけは、世界遺産である丹生都比売神社(にうつひめじんじゃ)のご祭神である
丹生都比売大神(にゅうつひめおおかみ)が紀ノ川流域の三谷に降臨されたからです。
神様が降臨されたのだからお酒を献上せねば!ということで地元の民が酒を造り始め
そこにお酒を献上するために丹生酒殿神社が建てられました。
時は進んで江戸時代。
のちの徳川幕府8代将軍になる紀州藩主徳川吉宗が当時米の収穫高問題を抱えていました。
打開策として紀ノ川の水をどうにか農業用水に利用できないかと考え灌漑開発を指示。開発は成功し米の収穫高・品質アップだけでなく水車を設置することにより精米技術も向上。もともと和泉葛城山系の伏流水で水は良かったので、お酒造りのクオリティも上がっていきました。
藩主のおかげで美味しくなったお酒を紀州藩に献上したら「川上酒」という名前を頂きました。
どうして川上かというと、紀州藩の居城和歌山城から紀ノ川の上流は「紀州の川上」と呼ばれていたためでした。
- 灌漑(かんがい)とは?
-
外部から農地へ水を人工的に供給すること。 農作物の増産、景観の維持、乾燥地帯や乾期の土壌で緑化する為に実行される。 他にも農業生産において、作物を霜害から守る、穀物の畑で雑草を抑制する、土壌の圧密を防ぐといった用途もある。
Wikipediaより
かつてかつらぎ町は16軒の酒蔵がありましたが、今では初桜酒造1軒となりました。
現在、丹生都比売大神の献上酒は初桜酒造が担っています。
一枚の絵
店内に入ると一枚の絵が目に入りました。
店主さんに許可を頂いて撮影させていただきました。
この画風…
わかる方がいるかもしれませんね。
こちら絵本作家の長谷川義史先生の絵だそうです。
私は長谷川先生を存じなかったので、調べてみて絵本の表紙を見て「みたことあるかも…」という程度でした。
不勉強で申し訳ないです。
ちなみにこの絵は、
かつて関西の人気番組だった「ちちんぷいぷい」の木曜日の名物コーナー「とびだせえほん」で
先生が描いたそうです。
「とびだせえほん」どういうコーナーだったのかというと
人気絵本作家の長谷川義史が風を感じながら気の向くまま散歩。町の印象に残ったシーンをスケッチしていきます。
ちちんぷいぷいホームページより
だそうです。
旅のコーナーだったようですね。
長谷川先生はお酒がお好きだから寄った?それともテレビ局の意向?
この絵の左の店主さんが私のお相手をしてくれました。
この絵のまんまの方でした。
店主さんの話によると
毎年メディア取材はしているそうで、テレビ取材は2,3年に1回の割合で依頼が来るそうです。
購入したお酒
高野般若湯(こうやはんにゃとう)
日本を代表する霊山。高野山。
高野山という名の山はなく、弘法大師空海が開いた真言密教(のちの真言宗)のエリア全体のことを指します。
今時の言葉でいえば真言密教テーマパークとなるのでしょうか。
高野山は標高が高く、修行をするには適している自然厳しい場所に位置します。
修行僧は、戒律が厳しい修行をしているのだけど、厳寒を凌ぐために弘法大師空海がこの般若湯を一杯飲むことを許されたという特別なお酒です。
高野山では般若湯と言えば「お酒」のことを指すそうです。つまり隠語です。
修行僧が寒さを凌いでいるとはいえ、お酒を飲んでいるというのは罰が悪かったかもしれません。
「般若」は知恵という意味があり、知恵の湯を飲むってなんだか素敵なことをしているように聞こえますね。
もしかして弘法大師空海も飲んだかもしれない?般若湯がここに!というわけではなく、
オンラインショップによると伝統製法は守りつつも、味は現代人に合わせているそうです。
ラベルの「若」の隣のマークは初桜酒造の経営者の「家紋」だそうです。
「丸に抱き茗荷」というそうです。
茗荷紋というのは「冥利(みょうり)」に通じて縁起が良い紋で、神社や寺で多く用いられる紋だそうです。
ちなみに高野山にある金剛峯寺の寺紋は2つあり、ひとつは高野山と結びつきの強かった時の権力者豊臣秀吉の紋である五三桐、もうひとつは高野山の鎮守・丹生都比売神社の寺紋左三つ巴です。
純米酒川上酒 初桜
酒蔵の名前のものを買ったほうがいいだろうという理由で購入。
この商品公式ホームページにもオンラインショップにも載っていないので
どこかに写真…と思ったらふるさと納税関連のホームページにありました。
左側のお酒です。
「桜」らしくラベルに桜が散っています。
直営店では結構いい位置で売っていたのでイチオシかな?と思ったのだけど、
どうしてホームページもオンラインショップでも載せないんだろう…?
杜氏の蔵みやげ
2本でオーダーストップと思ったのですが、名前に惹かれて購入。
杜氏(とうじ)ってご存知でしょうか。
杜氏とは日本酒を造る上での責任者のことを言います。
杜氏は、稲刈りが終わった秋に、酒造り職人を引き連れて、酒蔵へ向かい、冬の間酒造りに勤しんで、酒が完成する春になると米作りをしに職人とともにふるさとへ帰っていきます。
寝る間を惜しんでの酒造りの集大成。一番おいしいお酒がこの蔵みやげです。
農作業の後の晩酌に飲んでいたのかもしれませんね。
高野山観光の後、初桜酒造に立ち寄ってはいかがでしょうか。
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