名で名水だとわかる地域〜京都 伏見

日本三大酒処 伏見

千本鳥居で有名な伏見稲荷大社が有名な京都市の南部に位置する「伏見(ふしみ)」。水に恵まれた地域です。京都市伏見区の宇治川の北側にある桃山丘陵をくぐった水が水脈となって地下に潜り、山麓あたりで豊かな水が湧き出ます。かつて「伏水」と書かれたくらい質の高い伏流水が豊富に流れている土地です。

一升(1.8L)のお酒を作るには八升(14.4L)の水が必要と言われていますので、水に恵まれている伏見が三大酒処のひとつになったのも頷けます。

伏見の酒造りの歴史は古く古代から始まりました。1592年に戦国時代に天下統一を遂げた豊臣秀吉が伏見城を築城したあたりで町は発展します。伏見の位置が大坂・京都・奈良・近江の中継場所であり、鴨川・宇治川・木津川・桂川が流れ込んでいるため水路が確保しており、陸路・水路ともに交通の要所になっていきました。水質が良くて、人が集まると酒造りも発展していって1657年には伏見に83軒の酒蔵がありました。

1868年に鳥羽・伏見の戦いで、町のほとんどが戦災で焼かれてしまい酒造りが難しくなった時期もありましたが、明治の時代に入り、経済的に安定するにつれて酒蔵経営も安定してきました。近代化により路面電車や地下鉄の工事によって京都の中心部の酒蔵が立ち退きや地下水の質が場所により不安定になってきたので、そこに酒造りをしていた多くの酒蔵が伏見に移動してきて酒処として発展してきました。この頃から地域のうまい酒から全国区のうまい酒になっていったのです。

伏見の酒の特徴

中硬水の良質な伏流水

「灘の男酒、伏見の女酒」という言葉があります。これはそれぞれに使用する水の違いに関係があります。

兵庫の灘五郷は海が近いため、カリウムやカルシウムなどミネラル分が多い硬水です。これらのミネラル分は酵母の栄養源となるため比較的短時間で発酵し、酸の多い辛口タイプの酒になります。だから男酒。対して伏見はカリウムやカルシウムのミネラルが程よく入った中硬水。発酵がゆっくりと進むため、酸は少なめ、なめらかできめ細かい淡麗な酒になるので女酒と呼ばれています。

四段仕込み

伏見の日本酒は、比較的低温での発酵、四段仕込みを行うことにより、繊細なお出汁文化の京料理に寄り添う、おだやかでソフトな風味が醸し出されます。

段仕込みはみなさんご存知でしょうか?

もろみ(酒母・蒸し米・麹・水からなる発酵液体のこと)造りで、酒母(酵母を培養した酒の元)が入った入れ物(例:タンクや樽)に蒸し米・麹米・水を投入することを言います。伏見は「四段仕込み」なので4回投入することになります。4回目の投入は甘口のお酒を造るために中身が少し違っていて蒸し米・甘酒・酒粕・酵素などになります。

伏水酒蔵小路

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お酒が一滴も飲めないのに酒蔵めぐりをし、お酒を購入するのが趣味な人。「口で飲めないなら毛穴で飲んでやれ!」とお酒を材料にした化粧品を作成して日々消費する生活を送っています。

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